【動画制作】絵コンテの作り方・重要ポイント解説【サンプルあり】


こんにちは!あやか(@aaa_1205)です!
動画/映像制作にとって「絵コンテ」は、アイデアや企画という無形のものを初めて形にする重要な工程であり、プロジェクトの設計図とも言えます。
この記事では、絵コンテに必要な情報や考え方、スムーズに絵コンテを作る方法を徹底解説します。最後に絵コンテのサンプルも載せていますので、ぜひ参考にしてみてください!
最後まで読むと、絵コンテの作り方だけでなく、作りたい動画のイメージがより明確になりはずです!
目次
絵コンテとは?
絵コンテとは、動画の設計図です。動画制作には必ず目的があります。その目的を達成するために、
- 誰に届けるのか
- どんな印象を抱いて欲しいのか
- どんな行動を起こして欲しいのか
これらを明確にする必要があります。そして、その目的を達成するために必要と思われるすべての要素を絵や文字でわかりやすく可視化したものが絵コンテです。動画制作に関わるすべての人に完成形のイメージをもってもらうためにも、絵コンテは非常に重要です。
また、動画に入る要素をすべて含んでいるため「何を・どのように・どんな順番で」見せたらもっとも視聴者の心に刺さるのか、情報整理するためにも有効です。
具体的には、登場人物やイラスト/セリフ/人物の表情や仕草/背景や各シーンの尺などが記載されています。
実写やアニメーション、TVCMなどそれぞれのケースで最適な絵コンテの形があり、制作会社によっても表現方法は異なります。
絵コンテ作成前に準備すること
前述したように動画制作には「目的」があります。
- 商品の販促
- サービスの紹介
- 理解促進
- キャンペーン告知
- 新規会員の登録増
上記は一例ですが、動画制作の目的として設定されることが多いものです。
目的とユーザーのアクションはワンセットです。視聴者が「商品を買おう」と決めて購入ボタンをタップする等、ユーザーに何かしらの「アクション」をして欲しいというのがクライアントの本音であり、動画の目的です。
しかし、アクションを促すにはそれなりの理由や根拠、説得材料が必要になります。
そのためには、以下の3つを明確にする必要があります。
絵コンテ作成前に準備が必要なこと
- 商品・サービス独自の強みの言語化
- ターゲットの設定
- 可能な限り情報収集をしてペルソナを1枚画像にすると尚良い
- 配信する媒体の決定
1. 商品・サービス独自の強みの言語化
今は商品、サービスが溢れている時代です。そして、それらに関する情報も世界中を飛び回っています。
似たようなサービスはたくさん存在するけども、唯一無二のポイントは何か。他社にはない強みは何か。それらを明確にし言葉にすることが大切です。
では、ここからは例として「タクシーの配車に特化したアプリ」を想定して進めていきます。
- タクシーの配車依頼がアプリで簡単にできる
- 自分のいる場所に5分以内に来てくれる
- アプリ上で行き先を指定すれば道案内が不要
上記3点は、すでに出回っているサービスにもあるもので、これだけだと差別化は難しいと考えます。さらに、それを上回る「魅力的」な部分は何か。ユーザーにとってのベネフィット(利益)は何かを掘り下げて考えてみます。
ユーザーベネフィット
- 提携タクシー車両が5倍に!
- 配車依頼から到着まで平均3分!
- アプリ上で決済できるから降りる時もスムーズ!
- 初回登録で3,000円分クーポンをプレゼント中!
これらはユーザーにとって十分なベネフィットであり、他社にない特徴であれば独自性にもなります。
このような独自の強みを見つけるということは、戦闘のための武器を用意することです。そして、ターゲット/ペルソナが具体的であれば、その人物にとってどれがもっとも急所に刺さる武器なのかも見えてくるのです。
そのため、しっかり言語化しておくことが必要です。
2. ターゲット/ペルソナの設定
視聴者のことをよく知らないと適切なアプローチがわかりません。
年齢や性別、職業、住んでいる地域、家族構成などのデモグラフィック属性※だけではなく、パーソナルな部分まで踏み込んでいけるとなお良いです。
ペルソナを明確にするには、そのデモグラフィックから割り出されたターゲット層よりもさらに深く、細かく人物像を設定していくことです。例えば、
- どんなライフスタイルを送っているか
- 性格や癖
- 今抱えている悩み、不満
- 仕事の内容
- 人間関係
- よく使うアプリやソフト
- 余暇は何をしているか など
※デモグラフィック属性とは
年齢や性別/家族構成/年収/職業/学歴/居住地域など、顧客データを分析する指標として使われる人口統計学的な属性のこと。
例)タクシー配車アプリのペルソナ像
- 鈴木 鉢太郎
- 32歳/男性
- 都内在住
- IT企業の営業職/勤続3年半
- 営業成績は良く上司から期待されている
- 昇進し役職を上げたいと考えている
- 顧客に会うため外出が多く移動がたくさんある
- 既存のタクシー配車アプリをよく使う
- 配車ができなかったり到着が遅いなどの不満がある
- アプリ自体の操作がしずらいと感じている
- 急いでいることが多いので支払いが煩わしく感じる
- SNSはTwitter/Instagramをよく見る
など、ターゲット像が何に不満・課題を抱えているか、またそれはなぜなのか?を明確にすると戦略を立てやすくなります。
上記のリストを以下のような人物像にしてみます。

どうやってターゲットをペルソナまで落とし込むのか?人それぞれやり方があると思いますが、データがない場合は以下の方法で情報収集をすることが多いです。
- クライアントから現在獲得できているユーザー属性を伺う
- 可能ならどういう経路で獲得できているか伺う
- 検索流入が多いのか
- どの広告からの流入が多いのか
- これまでの戦略で良かった/悪かった点
- 競合/ベンチマークしている企業やサービス
- そのサービスを使っているユーザーの口コミ評価を検索
- アプリならAppStoreやGooglePlayで確認可能
- 商品ならAmazonや楽天の口コミを確認
- 口コミの高評価、低評価を確認
- 高評価で重複しているポイントを抽出
- 口コミから得た情報とクライアントが獲得したいターゲット層にズレがないか確認
- 情報収集のデータを元にターゲット層を仮で決める(デモグラフィック属性)
- 仮のターゲット層に設定した人物が検索しそうなキーワードを調査
- その人たちがどんな悩み/不満を持っているかYahoo!知恵袋や教えて!gooなどQ&Aサイトをくまなく見る
- その投稿主の公開情報を確認する
- SNSをやっていればどんな投稿をしているか見る
- どういうタイミングで悩みや不満を持ったのかを探る
このような感じで、なるべく事実に即したリサーチをしています。そうすると、具体的な人の雰囲気もイメージできます。
ただし、ペルソナを具体的にするのは良いことですが、ターゲットよりも母数は少なくなります。そのため、複数の視点からみてターゲット〜ペルソナの範囲内で共通点を探すのも大切です。ペルソナはターゲットの道の先にあるイメージですが、道を繋げている共通点は何か。そこを探るために、情報収集は大切です。
3. 配信する媒体を決める

ターゲット像が明確になると、どんな配信媒体を使うべきか?も自ずと見えてきます。
上記の例だと、SNS広告が有効な媒体となりそうです。また、ターゲット像に親しいユーザーが使うSNSは他にないか確かめてみて、あればそちらを含めることを検討します。
また、タクシーの配車アプリなら、タクシーの広告枠を使うというのも検討の余地がありそうです。
配信する媒体によってユーザー層は異なるため、それぞれに適したトーン&マナーや世界観、動画の適切な長さ、使用するイラストも変わってきます。
動画編集者ではなく、クライアントやクライアントの運用担当の方ともコミュニケーションをとりながら、どこで動画が見られるのか?を明確にイメージできるようにしておきましょう。
【保存版】動画の絵コンテの作り方
構成は6W3H+Cを基本に考える
インパクトがある動画、なんだかカッコイイ動画。それらは確かに見た目は良いですが、肝心のターゲットの心に響くものでなければ意味がありません。
例えば、「新規会員の登録を増やしたい」という目的で動画広告を制作する場合も、増やし方はさまざまです。
- サービスを知ってもらうきっかけとして認知促進向けの動画を作り広告出稿の上、認知向上を図る
- ランディングページやWebサイトに動画を導入してサービス理解を促進する
- SNS広告媒体に配信して新規会員登録フォームへ促す/ストアへ誘導しアプリダウンロードを促す
最終的に、ターゲットユーザーにどんなアクションをしてもらいたいか明確にすることが重要です。そのために、6W3H+Cをベースに情報整理をしましょう。
▼ タクシー配車に特化したアプリプロモーションの例
What(何を) | 動画のメインとなる商品やサービス。 | 例)アプリ「ABCタクシー」 ・提携タクシー車両が5倍 ・タクシーがくるまで約3分 ・決済はアプリ内完結が可能 ・3000円クーポンプレゼント |
---|---|---|
Why(なぜ) | 動画制作が必要な理由・動機。 | 例)認知拡大とアプリDL数アップ。 |
Who(誰が) | 動画でメッセージを伝える話し手。視聴者に感情移入してもらえる人物設定が望ましい。 | 例)サービス立ち上げの責任者、実際にアプリを使ったユーザーの声など。 |
Whom(誰に) | デモグラフィック属性からユーザーのタクシー配車アプリ全般に対する不満・課題・問題点を明確にする。 | 例)設定したペルソナや親しいターゲットに向けて。 |
When(いつ) | ユーザーはいつこの動画を見るか想定することで、動画の構成を考える際に役立つ | 例) ・他のタクシー配車サービスでなかなかタクシーがつかまらない時 ・会議に間に合わせるためにタクシーを使いたいとき等 ・急な雨でタクシーが必要な時 ・会食に向かうために現地まで急ぐ時 等 |
Where(どこで) | ユーザーはどこで動画を目にするのか、メインとなる場所を設定。 目に触れる場所によって視聴者の心理状況は異なり、動画の訴求方法や尺の設定などに影響する。 | 例)InstagramやTwitterのタイムラインを眺めている時。「タクシー 配車」などでGoogle検索をして訪問したサイトで情報を探す時。 |
How(どのように) | 6Wで導き出された情報をベースに動画の大枠となる方向性を決める。方向が定まらない場合は、6Wをさらに深堀りする。 | 例)SNSやGoogle検索など「タクシー 配車」で上位表示されるメディア等に広告を配信し認知→アプリDLがゴール |
How long(どのくらいの長さで) | SNSを閲覧したり、情報検索をするユーザーは基本的に忙しいため、内容が伝わる範囲で限りなく短い方が望ましい。 | 例) 30秒の尺で特徴と強みを明確に訴求→アプリDL |
How much(どのくらいの予算で) | クライアントが動画広告にかける予算によって動画制作にかけられる時間的・人的コストも変動する。 | 例)予算30万円 ・個人クリエイターへ依頼 ・企画〜編集まで一気通貫 ・オリジナルイラストの予算はないため 素材サイトでライセンス取得 |
Call To Action | ユーザーにもっとも起こして欲しいアクションを決める。 | 例)AppStoreまたはGooglePlayでアプリDL |
全体の流れを掴む
6W3H+Cで情報整理をすると、プロジェクトの輪郭や動画制作の方向性が見えてきます。ストーリーの展開は、基本は起承転結ですが、目的から逆算して一連の流れを言語化してみましょう。
目的:SNS広告経由でストアへ遷移しアプリダウンロード
↑
初めてダウンロードした方には3,000円クーポン進呈中!今すぐアプリをダウンロード!
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実際に使ったユーザー:「今まで使ったタクシー配車アプリの中で一番早くスムーズに乗れました!」
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ユーザーベネフィット
- 提携タクシー車両が5倍に!
- 配車依頼から到着まで平均3分!
- アプリ上で決済が完了なので到着したら降りるだけ!
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とにかく速い!タクシー配車サービスなら「ABCタクシー」
テキストファースト!
大枠の流れが決まったら、まず最初にするのは文字情報をおおかた確定させることです。キャッチコピーや動画上に載せるテロップ(文字)、ナレーションありの場合はナレーション原稿を作成し30秒に収めます。
最初は動画の長さなど関係なく、どんどん文字情報を書き出していきます。そうすると尺に対して文字量がかなり多くなります。それからどんどん「削る」作業をしていきます。
大事なのは「伝わる」こと。
30秒の動画なのに、実際にナレーション原稿を読んでみたら50秒かかってしまった。それを無理やり早口にしたり、1シーンに文字を詰め込んだりしても、視聴者に伝える以前に何のことなのか理解してもらえません。
では、どうすれば良いのかというと、文字ではなくビジュアル化して伝える部分と、文字にした方が良い部分を選別すること、ペルソナに刺さる部分だけに絞り込むことです。
また、文字にする部分はストップウォッチなどを使って秒数を測り、適切な長さに調整することも必要です。
ビジュアライズする(可視化)
テキストが固まったら、それらを目で見えるものに変化させます。

絵コンテのフォーマットに決まりはなく、クライアントの指示があれば従います。特に指示がなければ、自分が慣れているもので良いと思います。最終的に、PDFにしてお客様にお渡しすることができれば問題ありません。
私はIllustratorを使うことが多いですが、GoogleスライドやExcel、AdobeXDなど時と場合によって使い分けます。
IllustratorはAfterEffectsとの相性が良く、レイヤー構造を整えたらレイヤーごとにAfterEffects上で編集ができます。絵コンテが完成したらファイルを複製し、絵コンテをベースにグラフィックデザインを進行できます。
またPDF化もしやすく画質も綺麗なので重宝しています。
ここでは、私が普段使っているIllustratorの絵コンテの雛形を使いながら進めていきます。

絵コンテ作成の3STEP
STEP 1:テロップ/ナレーション/文字情報を書く
全体の流れを掴む で、目的から逆算した一連の流れをより詳細にテキストで落とし込んでいきます。
ナレーション原稿は自分で読んでみて、指定の秒数内に収まるように調整します。
内容の列には、そのシーンの演出・表現の意図を簡潔に説明します。クライアントが見たときに、なぜこの流れになっているのかわかるようにしましょう。

STEP 2:構図を決める
構図(レイアウト)や、シーンとシーンのつなぎの部分を具体的にしていきます。
映像部分にも必要なテキストを入れて、少しずつ目で見えるようにしていきます。

STEP 3:イラストや画像をいれてイメージを明確にする
色やイラストをどこまで入れるかは、プロジェクト毎に変わってきます。多少、配色がどんな感じか、イラストのテイストはどんな雰囲気のものかがわかると絵コンテの段階で修正することができるので、後々変更するよりも後戻りが少なくて良いです。
クライアントと一緒に進めていくので、そこは都度柔軟に対応できるように意識しましょう!

これで完成とします!
実際は、この絵コンテを提出し、クライアントからのフィードバックをいただき、修正をして再度提出などのやりとりをして確定となります。
絵コンテ作成の注意点
情報を詰め込みすぎない
クライアントの商品・サービスに対する思い入れは深く「利益を上げたい」「より多くの特徴を知って欲しい」「こんな素晴らしい機能もあるんだ」と、すべてを伝えたくなってしまうことがあります。
でも、限られた時間内で目的を果たすために、それらすべては本当に必要か?というと、そうでないことも。目線をターゲットに合わせ、ターゲットの心に響くものに絞ることが大切です。
30秒の動画なら、伝えたいコアメッセージは1〜3つ、60秒の動画なら3〜4つなどが良いとされています。
上手な絵を描く必要はない
絵コンテ上でいくら細部までこだわって絵を作っても、実際に仕上がる動画とはどうしても乖離が発生するものです。
- イラスト/人物がどういう感情表現か(喜怒哀楽)
- もっとも伝えたいことが伝わるか
- ユーザーのアクションを迷わせないか
- 全体の流れがわかる
これらがわかれば、絵コンテの役割は果たしています。手描きでもフリー素材のイラストを使ってもイメージが伝わればOKです。
客観的な視点で見返す
細部までこだわる必要はないものの、流れがまとまったと思ったら、必ず最後に見返しましょう。
1日空けて再度絵コンテを見たときに「あれ?これはこうした方が良いかも。」という改善ポイントが見つかることも多々あります。
絵コンテを作ったのが自分なら自分以外の人に見てもらって、内容が理解できるかどうか客観的な意見をもらうのも有効です。
私は、ターゲット属性に近い人が周りにいたら「この絵コンテ見てみてくれる?」とお願いすることもしばしばあります。
プロジェクトに全く関与していない人が内容を理解できれば、お客様やターゲットにも伝わるはず!
さいごに
今回の記事では、動画制作の絵コンテについて解説しました。動画/映像編集だけでなく、Webサイト制作やロゴ制作などすべてのクリエイティブ活動において、”目的の明確化と情報整理”がもっとも重要とも言えます。
絵コンテ作成前に準備すること
- 商品・サービス独自の強みの言語化
- ターゲット/ペルソナの設定
- 配信する媒体を決める
絵コンテの作り方
- 構成は6W3H+Cを基本に考える
- 全体の流れを掴む
- テキストファースト
- ビジュアライズする
絵コンテ作成の注意点
- 情報を詰め込みすぎない
- 上手な絵を描く必要はない
- 客観的な視点で見返す
できる限りの情報収集と情報整理、そして言語化したものを可視化する絵コンテ。この工程があって始めて動画編集に着手できます。
そのためには、双方納得するまでお打ち合わせし、企画を練り、ターゲットの気持ちを理解することが大切です。目的を達成する動画を作るため、機能する絵コンテを作成しましょう!
動画を作りたいけど「何から始めれば良いかわからない」「事業の収益を上げるための広告を作りたい」「サービスの課題を解決したい」など、さまざまな課題をお持ちの方。まずはお気軽にご相談ください。