IA(情報設計)とUXの関わりについて②


前回UXの概念についての記事を公開しましたが、IA(情報設計)とUXの違いに悩む方も多いと聞きます。
同業者からはIAについての質問をいただくこともありますが、多くの場合IAとUXの境界線について悩む傾向にあるようです。
今回はIAとUXの違いと関わりについて少し突っ込んだ解説をしていきます。
■UXの概要についての記事はこちら

【連載】IA(情報設計)とUXの関わりについて①
■IAのについての記事はこちら

IA(情報設計)とは何か 重要性と効果
IAが担当する範囲
IAについてあらためてなにものかを文字情報として表すと、Wikipediaでは以下のように書かれています。
「情報をわかりやすく伝え」「受け手が情報を探しやすくする」ための技術およびデザインに関する分野である。また、この分野の専門家を情報アーキテクトという。ともに「IA」と略される。
IAは「ユーザビリティを支えるために、ウェブサイトを体系化し、分類するための技術と科学」
では、UXについてを同じくWikipediaで探してみると、
「人々が製品やシステム、サービスを利用する際の感じ方。利便性、使ったときの心地よさ、システムの効率性(を含む)」
とあります。
これらの情報をみるかぎり、UXを設計するために必要なのがIAであるというように想像できます。
構造全体の設計がIA
IAはUXという言葉が広く知られるよりも以前からある言葉で、web制作やシステム開発の現場においても真新しいものというわけでもありません。
我々は当たり前のようにIAをwebの制作やシステムの開発の設計手法として用いていますが、もとは建設業界で使われている手法で、ITやwebの業界ではそれらの多くを応用して活用しています。
PM(プロジェクトマネージャー)などの役職もその一つです。
建設業界で使われる手法であるということから想像がつくかもしれませんが、重要になるのが設計であり、それがIAです。
つまり、webやシステム開発の現場でも建設業界同様に設計がとても重要だということが分かるのではないでしょうか。
IAによって設計されるもの
IAが担う範囲は広大ですが基本的にはユーザー(サービスやシステムを使用する人々)中心であるということが重要な要素です。
WebサイトであればCV(コンバージョン)のための導線としてユーザーに最も適したコンテンツの策定や、それらを掲載する順番などを導き出すことが必要です。
ユーザーが求める適切な情報を適切な順番で、かつ使いやすいUIで配置することで高い成果を出すことができるようになるからです。
IAではそれらの最適解を見出すための設計手法と言えます。
■こちらの記事で代表的な手法やフレームワークについて解説していますので合わせて読んでみてください。

【競合分析とは?】代表的なフレームワークの要点・便利ツールをまとめてご紹介!
IAの成果物としてはペルソナやカスタマージャーニーマップなども含まれますが、これらを導き出すために定性調査や定量調査をはじめとするさまざまな調査をもとに導き出し設計されます。
それらを可視化したものがワイヤーフレーム(デザインの設計書)と言えます。
■ワイヤーフレームについてはこちらの記事で解説しています。

ワイヤーフレームとは?IA担当者が解説するwebサイトの設計方法
つまりIAが担当する領域は構造に関するものであり、シンプルなシングルページから複雑な情報を必要とするシステム開発まで全ての範囲が対象です。
UXの役割について
IAはユーザーにとって適切な情報をどのように提示するか、その動線やコンテンツの策定など設計部分に携わるということを説明させていただきました。
その上でUXはどの部分を担うのでしょうか。
UXについてもう一度Wikipediaをみてみると、
「専門用語としてのユーザーエクスペリエンスには広く合意された定義が存在しない。」とあり、大まかな共通認識として、「ユーザーと外部(対象物や環境)とのインタラクション」により「ユーザーの内面で心的プロセスが発生」し「結果としてユーザーが得る記憶や印象」がユーザーエクスペリエンスとされる。
と記載されいます。
つまり、人間の感情レベルに働きかけるような作業を行うということになります。
ただし、Wikipediaにもあるように専門用語として広く合意された定義が存在しないという部分が多くの誤解や認識の齟齬を生む原因となっているように感じます。
国際規格ISO9241-210では製品、システムまたはサービスを使用した時、および使用を予測した時に生じる個人の知覚や反応であるとされていますがこれらを単純に体験という言葉で要約してしまうと齟齬が広がります。
重要なのはプロジェクトにおいてUXをどのように定義づけるかだと私は考えています。
UXの設計では物事をより深く掘り下げることでユーザーがより使いやすくなるための設計を行い、ユーザーがより自然な振る舞いでサービスを使うことができる環境をいかに整えるかということに注力します。
そのためUXは考えようによってはどんなものであっても全ての領域を内包することができることになります。
そのためにIAが重要になり、ユーザーにとって必要なものの本質部分を導き出せるようになります。
まとめ
よりよいUXを得るために、より良いIAが必要になります。
UXそのものはユーザを中心に考慮しIAをもとに設計をしますが、IAは必ずしもUXを考慮した設計をするわけではありません。
IAの中にUXの設計があるためです。
IAで導き出した設計の土台をもとにUXは設計され、ユーザーの感情的な部分にアクセスすることで提供するサービスやwebサイトを使った時の感動を作り出します。
その感動は提供するサービスの売上や口コミなどセールスだけではなくマーケティングの領域までにも影響する可能性があります。
私たちが設計するものはユーザーとの意思疎通を取るための方法ですので、より良いサービスの提供、より良いwebサイトの構築のためにIAはとても重要な要素です。
私たちWepotは情報設計を得意とし、デジタルクリエイティブをより高い精度で制作することにこだわっています。
Webサイトの制作やシステム開発のみならず、DTPやイラストの制作などでお悩みの場合は是非ご相談ください。